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ブドウに転作、ケシ撲滅 ミャンマーの農業者 上山で研修

Written By Unknown on Thursday, July 8, 2010 | 9:13 AM


麻薬の原料になるケシの世界的産地の一つ、ミャンマー辺境地帯のケシ畑をブドウ畑に変えて農業経済を確立しようと、ミャンマーの農業者ら4人が研修生として山形県上山市に滞在し、ワイン生産用のブドウ農場で栽培技術を学んでいる。


 研修生はモ・ゾーさん(38)ら22~65歳の男性。ケシの不法栽培地域へ農林業技術を導入し、転作を進める事業を手掛ける仙台市のNPO法人「アジアケシ転作支援機構」(我妻豊理事長)の招きで来日した。6月下旬から3週間の日程で、上山市のタケダワイナリー(岸平典子社長)や農業団体で研修を受けている。
 今月5日、高台にある同社の約15ヘクタールのブドウ農場。モ・ゾーさんらは赤ワイン用のブドウ品種、カベルネ・ソーヴィニヨンの枝を針金にテープで結わえ付けてまっすぐにする作業や、枝の剪定(せんてい)作業を行っていた。苗木の植え付け方や消毒作業なども学んでいる。
 モ・ゾーさんは「枝の間の風通しを良くする作業が興味深かった。ケシ栽培は良くない。経験を母国で生かしたい」と目を輝かせた。社員とともに指導に当たった岸平社長は「みんな手際がいい。一生懸命、まじめに学んでいる」と語った。

 機構理事を務める天童市の果樹苗木生産会社社長石堂悟さん(55)は、10年ほど前からブドウや桃、リンゴの苗をミャンマーに持ち込み、栽培を指導してきた。「人材を受け入れて育てる方が早い」と、今回研修生を招くことにしたという。
 ミャンマーの辺境地帯は山形県と同様、寒暖の差が激しく果樹栽培に適している。ただ、現地は成長期が乾期、収穫期が雨期に当たり、栽培暦に一工夫が要るという。
 石堂さんは「ケシ栽培をやめても、その地域で必要とされる作物を植えないと、またケシ栽培に戻ってしまう」と、ブドウ栽培の意義を説く。
 研修は12日ごろに終了するが、石堂さんは「秋の収穫期や、来春の苗木の植え替え時期にも日本で勉強してもらい、現地のリーダーになってほしい」と夢を描いている。

 【メ モ】 ミャンマー国内の麻薬精製用ケシ栽培は北部山岳地帯のシャン州などが中心。多くが少数民族の居住地域と重なる。ラオス、タイにまたがる地域は「黄金の三角地帯」と呼ばれ、アヘンやヘロインの生産拠点として有名だったが、近年は国策で転作が進む。代わりにアフガニスタン産が、ケシを精製してできるアヘンの世界流通量の9割近くを占める。


2010年07月08日木曜日

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