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変化なくして支援なし

Written By Unknown on Sunday, November 4, 2012 | 6:12 AM



ミャンマーで歴史的な民主選挙が行われた今年4月1日。ミャンマーの民主化運動指導者、アウン・サン・スーチーさんが黄色い花を持って投票所に向かう写真が、外信を通じて全世界に配信された。花を手に歩くスーチーさんを見て「きょう、一人の女性が手にしていた花は、軍部の銃剣を折ってミャンマーを変えるだろう」という思いが胸中を駆け巡った。

 1988年に帰国した後、ミャンマー軍部と対決してきたスーチーさんの傍らには、いつも花があった。花で首飾りを作ったり髪に飾ったりしたほか、支持者の前でも手にした花を振った。その花は、非暴力で鉄拳統治に立ち向かってきたスーチーさんの闘争を象徴していた。昨年12月に他界したチェコのバーツラフ・ハベル元大統領は、そんなスーチーさんに「バラを渡したい」という一文を、かつてワシントン・ポスト紙に寄稿。ハベル元大統領は生前その目的を遂げることはできなかったが、今年7月にチェコの外相がミャンマーを訪問し、ハベル元大統領の葬儀場に置かれていたバラを1輪、スーチーさんに贈った。

 スーチーさんは非暴力抵抗を超えて、軍部との和解まで推し進めている。スーチーさんは今年6月にフランスを訪れ「ミャンマーに民主主義を定着させるため、軍部と協力したい」と語った。しかし前後の発言からすると、とにかく和解したいという意味ではなかった。スーチーさんは今年6月14日、国際労働機関(ILO)総会での演説で「国民が貧困と恐怖からの自由を享受できなければ、真の(ミャンマーの)発展ではない」と語り、ミャンマー政府に対し「民主化に親和的」な変化を求めた。昨年末に米国のヒラリー・クリントン国務長官がミャンマーを訪問した後、ミャンマーに対する経済制裁を解除すべきだという声が上がると「国際社会の支援は政治改革と共になされるべき」という条件を提示した。国際社会もスーチーさんと歩調を合わせている。英国のキャメロン首相は「ミャンマーに対する経済・金融支援は、民主化の発展の程度と連携すべき」という「段階的支援論」を語った。米国は、ミャンマーのテインセイン大統領が政治犯700人を釈放し、北朝鮮との武器取引を中断する意向を表明したのを見届けてから、テインセイン大統領に対する米国入国制限を解いた。

 韓国大統領選挙への出馬を決めた朴槿恵(パク・クンヘ)、文在寅(ムン・ジェイン)、安哲秀(アン・チョルス)各候補が中央選挙管理委員会に提出した公約を見ると、どの候補も現政権になって冷え込んだ南北関係の改善を約束している。しかし、スーチーさんのように「相手の変化を前提とした太陽」を語った候補はいない。かつて金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権によって10年間続いた太陽政策は、北朝鮮を変化させるどころか核武装と権力世襲を助けただけだったという事実に対しては、目をふさいでいるようだ。延坪海戦、哨戒艦「天安」爆沈事件、延坪島砲撃といった武力挑発を中断するという約束をまず取り付けたいと語る候補もいない。ある候補は、北朝鮮の挑発は韓国のせいだという主張まで繰り広げている。このような状況で対北支援を再開し関係改善を図るのは「南(韓国)が言うことを聞かないなら暴力を使えばいい」という韓国脅迫戦術は正しかった、と手を上げて降参するに等しい。スーチーさんはミャンマーに変化をもたらすため、自分の原則を守り、24年待った。今韓国に必要なのは、北朝鮮との見掛けだけの和解ではなく「変化なくして支援なし」という原則を守り抜く忍耐と、これを貫徹するための国際社会との協調だ。


金泰勲・国際部次長
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