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「声上げる国民」 ミャンマー、民主化で意識変わる

Written By Unknown on Friday, April 5, 2013 | 7:59 AM


 ティラワ港近郊で食堂を営むミン・ミン・ジーさん。隣接する40軒の店とともに、政府から早期立ち退きを迫られている
写真 宮野弘之



 ミャンマーが揺れている。2年前、テイン・セイン大統領が就任して以来、民主化と経済改革を進めてきたが、ここに来てイスラム教徒をめぐる暴動や土地収 用に反対する農民のデモなど、国民意識に変化が起きている。ミャンマーの現状を報告する。

■土地バブルに便乗

 「われわれだって日本にティラワ開発を進めてもらいたいし、妨害するつもりはない。しかし、政府がわれわれと直接交渉し、補償してくれるまでは絶対に動かん」
 ミャンマー最大都市ヤンゴンの南、日本が主導して開発を計画するティラワ経済特区(SEZ)にあるアロンソ村で、村人のリーダー格、ミャー・ライさん(67)は語気を強めた。

  彼らは、1997年に初めてティラワ地区開発計画が持ち上がったときにも移転を命じられた。そのときの補償金は1エーカー(約4046平方メートル)当た り2万チャット(約2千円)。開発は進まず、その後、当時のヤンゴン管区司令官から同地での米作を続けるよう命じられ、耕作を続けてきた。

 新政権下で、ティラワSEZ開発が進むなか、再び立ち退きを迫られているが、今回は地元の非政府組織(NGO)などの支援を受けて、ヤンゴン市当局と交渉している。

  今やSEZの外側では、1エーカー当たり2億5千万チャット(約2500万円)で土地が取引されており、農民も目の色が変わるのも無理もない。SEZ内の 土地は収用後、日本とミャンマーの合弁で作る共同事業体に貸すことが決まっている。他に転売ができないため、周辺の土地ほど価格は高くないが、それでも農 民らは1エーカー当たり1500万~2千万チャットを要求。さらに「補償金のうち7割は新会社に投資したい」(ミャー・ライさん)と皮算用する。

 村人たちは、新しい土地法を挙げて農民の主張を擁護するが、その解釈はかなりいい加減だ。ただ、軍政時代には黙って命令に従っていた人々が、今や臆せず要求するようになったことは無視できない。


■土地売買に絡む政商

 「SEZの中の土地ならまだあるよ。4エーカーで4千万チャットでどう?」
 SEZの脇で不動 産業を営むセイン・タンさん(64)を1年ぶりに訪ねると、こう声をかけられた。ティラワSEZのうち、北半分はすでに収用手続きが行われて土地売買はで きないが、南半分は手つかずだ。「政府に買いたたかれて損するリスクを覚悟するなら買えるよ」と笑った。日本企業がティラワに進出して来ると取り沙汰され るようになった昨春ごろから、ミャンマー在住のビジネスマンらがSEZ内の土地を次々と購入した。セイン・タンさん自身、SEZ内の土地をミャンマー人女 性の名義で日本人に売ったという。

 ティラワでの土地問題について、ティラワSEZ開発委員会のセッ・アウン委員長(ミャンマー国家計画・ 経済開発副大臣)に聞いた。セッ・アウン氏は「ティラワの土地問題には自ら責任を持って取り組む」としたうえで、「農民については1997年に補償を受け ていてもいなくても、同様に補償や代替地を用意し、解決を図る。必要なら自分が交渉に行くつもりだ」と話し合いでの解決を図る考えを示した。

 ただ、問題は農民だけではない。SEZ内の土地を買っているのは実はミャンマーのビジネスマンであり、その多くがいわゆる政商につながっている。彼らの言い値で土地を買い上げれば政商を利するだけだ。

  ミャンマーが2011年3月に軍政から民政に移管後、政商たちは、社名を変えたり、別会社を作ったりして、巧みに生き残りを図っている。ミャンマーでは外 国の投資案件には国会承認がいるため、議員へのロビー活動も活発だ。いつまでも政商を排除できなければ、外国投資はいずれ先細りする。


■株式上場で自浄期待

 それでも希望はある。ミャンマー証券取引センターの稲見成人社長は、証券取引市場の設置で自浄作用が働くとみる。

 ミャンマー企業は二重、三重帳簿はざらで、政商関連の企業だと、4つの帳簿を持っているという。(1)自分用(2)取引先への提示用(3)当局への提出用(4)銀行口座のあるシンガポール当局への提出用-の4種類だ。

 「いままでは投資家は自分の情報だけを頼りに、店頭で株を買っていた。これから証券市場に上場するとなれば、ディスクロージャー(情報公開)も求められる。証券市場がミャンマー企業に自浄作用を促し、透明性を確保できるようになる」と稲見氏は話す。

 ミャンマー証券取引所は2015年の取引開始を目指しており、ミャンマー政府としては最低でも30社ぐらいを上場させたい考え。証券取引所はヤンゴンのダウンタウン中心部にあるスーレーパゴダから数百メートル南にある地元銀行の建物が有力だ。

 今後の見通しについて、稲見氏は「ミャンマー進出の第1ラウンドは終わったところ。第2ラウンドでは、法律やインフラなども整ってきて日本が得意とする製造業も入るチャンスが出てくるだろう」と語った。

 もっとも、ライバルとなるのは、中国や韓国、欧米企業だけでない。例えば、通信関係はタイのタクシン元首相の系列企業がミャンマー政府に深く食い込んでいる。

  日本企業と取引のあるミャンマー人ビジネスマンが言う。「ミャンマーでは『ルールはルール、プラクティス(実行)はプラクティス』という言葉があります。 いろいろ決めても実行する際に最も適したやり方でやるのがいいという考え。日本から期待されても、必ずしも100%応えられるわけでもない。期待しすぎな いでというのが、正直な気持ちです」

(ヤンゴン 宮野弘之) 

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130405/fnc13040521320030-n1.htm
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