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飛び立つミャンマー 出遅れる日本 失う商機

Written By Unknown on Friday, February 24, 2012 | 1:28 AM

2月28日(火)0時0分配信
■経済制裁解除見越し欧米は先手

 ミャンマーのテイン・セイン大統領が率いる新政権が昨年3月に発足後、わずか1年。予想をはるかに超える急速な政治・経済、社会の改革は、ミャンマーを 東南アジアの最貧国から今、最も魅力的な投資先へと押し上げつつある。世界各国からの熱い視線が集まるミャンマーの今をリポートする。

 「私たちはもう待てない。日本はこの国に来て、調査ばかりしている。何と呼ばれているか知っていますか? NATO、“ノー・アクション・トーク・オンリー”です。つまり、言うだけで何も実行しないとみられています」

 ミャンマーの最大都市、ヤンゴン市内で会った地元ビジネスマンはにが笑いしながら、こう言った。これまで長年、日本とのビジネスに関わってきたというだ けに、「いつまでたってもFS(事業化調査)ばかりやっている」(同)だけで、一向にプロジェクトが進まない日本に、付き合うのはもううんざりといわんば かりだった。

 彼の気持ちにも無理はない。いまミャンマー国内、特にヤンゴン周辺では欧米の経済制裁解除を見込んで、ビジネスチャンスを探す人々であふれ返っている。 中国や韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナムといったアジア諸国だけでなく、経済制裁を行っている欧州連合(EU)のドイツやフランスはもちろ ん、過去軍政に対し厳しい態度をみせてきた米英のビジネスマンも虎視眈々(たんたん)とビジネスチャンスを狙っている。

 それどころか、米国の大手清涼飲料水メーカーやファストフードチェーンも「経済制裁が解除されれば、その翌日から店の改装に入れる状態になっている」と話すのは、すでに米清涼飲料水メーカーと合弁企業立ち上げで契約を済ませたというミャンマー人だ。

 ■知識集約型産業の育成課題

 彼によると、契約を結んだのは昨年8月。新政権発足後、報道規制の緩和や政治犯の大量釈放が始まったころだが、なお民主化の進展に懸念を抱く人が多かったころだ。

 ◆西側の表と裏

 さらに最近、米国のホテルチェーンでシェラトンやウエスティンなどを展開するスターウッド・ホテル&リゾーツとマリオット・インターナショナルは、そ ろってミャンマーでのホテルビジネスに乗り出す意向を表明した。一方、ベトナム企業がヤンゴン市内の工業省跡地に約2億ドル(約160億円)を投資しホテ ルを建設することを発表した。

 ヤンゴン市内の中心部には、各省が首都ネピドーに移転したことに伴って、広大な遊休地が点在。特に工業省跡地の隣には、外国政府高官も泊まる地元資本の 高級ホテルがある。このため、地元ではベトナム企業が米ホテルチェーンと組んで、同地にホテルを建設する計画だとの見方がもっぱらだ。日本が欧米の経済制 裁に「西側の一員として」協力し、企業も手をこまねいているうちに、欧米各国は次々と手を打っているのだ。

 ドイツも例外ではない。ドイツの金融機関グループは「ビジネス虎の穴」とばかり、ミャンマーの起業家を募る目的で良いビジネスプランには出資するとして アイデアを公募する。すでに多くの若手ビジネスマンが応募しているが、その中には米国の経済制裁の対象者リストに載せられたミャンマー経済界の実力者、エ アバガン社長のテ・ザ氏(44)も2000億チャット(約200億円)のビジネスプランを持って応募したという。

 「経済制裁をしていないはずの日本が一番取り組みが遅い」

 前出の地元ビジネスマンは切歯扼腕(せっしやくわん)する。その一方で彼自身、ドイツの公募に50億チャットのビジネスプランをもって応募したという。日本はこのままでは、大切なビジネスパートナーさえ失いかねない。

 ◆二重レート解消

 外国からの投資を呼び込むことで経済の立て直しを図ろうとするミャンマー政府は、外国投資法の整備や為替の二重レートの解消に乗り出している。

 為替は実勢レートと公定レートに数百倍の差があるが、今は街中にある外国為替を扱う銀行6行の窓口で、実勢レートで両替が可能だ。ヤンゴンの街中には、 6行のカウンターが一カ所に集めた両替所がある。その一つに入ると、地元の人が両替を待っていた。正面には当日のレートが表示されており、6行の職員はそ れぞれが表示レートを上限として、客の様子を見ながら有利なレートをそれぞれのカウンターに張り出す。

 ただ、2年前は1ドル=1100チャットだったが、新政権発足後は一時650チャットにまで高騰。今も800~830チャットで推移する。変動率が高い こともあり、タクシーでも「ドルはいらない。チャットでくれと言われることが増えた」(在留邦人)。チャット高は繊維製品などの輸出にも影響し、さらに生 活費の上昇で労賃の上昇にもつながっている。

 従来、ミャンマーは低賃金、労働集約型の縫製業などが多かったが、今後は知識集約型産業の育成が課題だ。ミャンマーの日本への期待も、そうした産業育成に向けた投資の拡大と技術移転などに集約されつつある。(ヤンゴン 宮野弘之)
 
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