7月15日18時59分
ベトナムの首都ハノイで20日から、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の一連の外相会議が開かれる。ASEAN10カ国の外相会議では、ミャンマー軍事政権が民主化運動指導者、アウンサンスーチーさんを排除して今年実施予定の総選挙について、
正当性を認めない立場の米国などには同調せず、事実上「スーチーさん抜き」の選挙を容認することになりそうだ。
外相会議を前にタイ外務省の当局者は「ASEANのミャンマーへの姿勢は変わらない」と語り、選挙問題で軍事政権に圧力をかける考えのないことを強調した。毎日新聞が入手した外相会議の共同声明案は、ミャンマーについて「すべての政党が参加する、自由、公正、包括的な総選挙実施の重要性」を指摘したものの、スーチーさんの選挙参加や解放については一切触れていない。
ASEANにとって加盟国ミャンマーの民主化は常に頭の痛い問題だ。欧米の非難を受ける軍事政権をかばえば、国際社会での地位低下につながりかねない。一方、ASEANは体制の違う加盟国の結束を保つため「内政不干渉」が基本原則。「民主化」は程度の差はあっても各国に共通の課題で、ミャンマー問題に深く踏み込めば内部崩壊しかねない危険性がある。
政治、経済制裁で軍事政権への強硬姿勢を貫いてきた欧米に比べ、ASEANは「制裁は政権を孤立化させるだけ」として、対話の重要性を強調してきた。昨年オバマ米政権が対ミャンマー対話路線に転じ、ASEANの主張の正しさが裏付けられたかに見えた。
だが、政権が3月に制定した選挙関連法で総選挙からのスーチーさん排除を明確にしたことで、国際社会の政権との対話機運は一気にしぼんだ。
ASEAN内部にも軍事政権の強硬姿勢に不満はあるとみられる。しかし政権との現実的な対話を続けてきたASEANは「軍事政権にスーチーさんの選挙参加を求めても聞く耳を持たないことを理解している」(タイの地元記者)。総選挙が不完全な形であっても民主化への一歩としてこれを認め、今後もASEANの一員として対話・協力を続けていく以外に、手段がないのが現実だ。
Subscribe to:
Post Comments (Atom)
0 comments:
Post a Comment