2010年8月2日
ミャンマーの作家が北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記に関する伝記をミャンマー国内で出版したところ、ヤンゴンの北朝鮮大使館員が「内容に誤りがある」として、作家の手元にあった300部余を押収していたことがわかった。
作家や出版関係者は本紙に対して、「行き過ぎた行為だ」と憤慨している。
この作家は、ヘイン・ラット氏(62)。オバマ米大統領をはじめ、世界の政治指導者の伝記を含む約90冊の翻訳や著書をビルマ語で出版しており、国内では有名。最近、ミャンマー軍政の検閲当局の許可を得て「金正日 北朝鮮の親愛なる偉大な指導者」と題した新作を出版したが、7月上旬、ラット氏の事務所を突然訪れた北朝鮮大使館の外交官から「書店に出回った分も含めて、本を全部よこせ」と要求されたという。
既に700部が販売されており、「無理だ」と断ったが、大使館員は後日、事務所に保管していた310部を持ち去った。ラット氏は「問題に巻き込まれたくないので応じた。代金は払われていない」と語る。
伝記は米国で出版された総書記に関する本などを参考にした。北朝鮮が具体的にどんな記述にいきり立ったかは明らかでないが、大使館員は「北朝鮮国外で書かれた本はすべてでたらめ」と話していたという。軍政当局が押収を容認したかどうかは不明だが、北朝鮮の朴宜春(パクウィチュン)外相のミャンマー訪問に配慮して、認めた可能性もある。ヤンゴンの出版関係者は、「ミャンマーは独立国であり、こうした行為は許されないはずだ」と憤っている。
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