アウンサンスーチーとビルマ(ミャンマー)の新たな独裁者テインセイン大統領の会談が行われ、ビルマについに政治的な進歩が訪れるチャンスがあるという希望が広がった。8月末にビルマを訪れた国連のビルマ人権特使のコメントもこの希望を反映したものになっていた。しかし、変化の可能性ついて、彼は、本当の変化ではなく、深刻な人権侵害は続いていると慎重な姿勢を見せた。
ビルマ生まれの我々は、過去にも国連特使が同様の希望的なコメントを出したことを覚えている。1994年にもアウンサンスーチーは国家元首と会談しているが、その後、進展はなかった。我々は、独裁というものは言葉ではなく行動で判断すべきものだと悟ったのだ。
他の独裁国家同様、ビルマでも、政治犯の釈放が政治改革へ向かっているかを判断する鍵となっている。この点から考えると、ビルマの新たな独裁者テインセインは、国へ変化をもたらそうとはしていない。テインセインは1995人の政治犯の釈放を拒否した。国際コミュニティは、言葉ではなく実態を伴って独裁を終わらせるよう、新たな手法に取り組まなければならない。
ヨーロッパ連合の外交官は、国連総会でビルマに関する決議で何を盛り込むかを議論しており、新たな段階へ進む機会が急速に近付いていると言える。
ビルマに関しては21回目の決議となる。決議では、常に政治犯の釈放が求められるが、ビルマ政府はこれを無視してきた。
これまで政治犯の釈放という重要な基準が満たされていない。ヨーロッパ政府は、決議に新たな項目を盛り込む前に、ビルマに変化があるかどうかを見守ろうと議論している。
ヨーロッパ政府がこのような姿勢なのは、私と違ってビルマの刑務所の状況を見たことがないからだ。刑務所は毎日が危機であり、生き地獄なのだ。精神的にも肉体的にも健康でいることは難しく、生きるか死ぬかの戦いだ。
政治犯は2種類の拷問に直面している。1つ目の拷問は、尋問の最中にしばしば行われるもので、よく知られているものだ。殴ったり、電気ショックを与えたり、無理な態勢にさせたりなど、多くの恐ろしい拷問が行われる。
もう1つの拷問も深刻だが、それほど注目を浴びていない。ローマ規定(注:国際刑事裁判所のローマ規定)では、拷問の定義は、「拘留中あるいは告訴された人に対し、ひどい苦痛や苦しみを与えること。精神的なものも肉体的なものも含む。」となっている。
肉体的・精神的な拷問は政府の政策として政治犯に対して行われる。政治犯は、病気のとき、あるいは、拷問で怪我をしたときも治療が十分受けられない。また、家族と遠く離れた刑務所に送られて精神的な苦しみも味わう。家族は、刑務所が遠いため、刑務所を訪れて食料や薬を届けるのが難しいのだ。刑務所の状況は悪く、強迫や暴力は日常的になっている。12月8日、僧侶ウ・ナイメインダが刑務所で亡くなった。栄養失調、虐待、医療不足が原因であった。彼は1988年以降、記録に残っている146番目の獄中死した人物となった。実際の人数はもっと多いと思われる。
国民民主連盟のコ・ミン・アウンは、11か月もの間、心臓疾患の治療を受けられなかった。彼はサガイン地区のカレ刑務所におり、自宅からは800マイルも離れていた。88世代の学生グループのミン・コ・ナインは、心臓疾患、痛風、眩暈に苦しんでいた。彼も自宅から遠く離れた刑務所に送られ、家族が薬を届けるのは難しい状況であった。
囚人に食料、衣類、医療など基本的なものを与えないのは、多くの国際法や基準に反している。
9月の国連総会で、ビルマに関して21回目の決議が出され、政治犯の釈放が呼びかけられるであろうが、無視されるであろう。
今年、我々は、決議を起草するヨーロッパ政府に対し、新たな事項を盛り込むよう求めている。戦争犯罪、人道に対する罪の調査委員会の設置を盛り込んでほしいのである。小さいが重要なことである。これは国連のビルマ人権特使も求めていることだ。
国連の委員会が、ビルマの刑務所で政治犯が受けている虐待や、少数民族地域で一般人が受けている虐待にスポットライトを当てれば、これらの虐待を減らすのに真のインパクトとなるだろう。ビルマ政府は国際的に認められることを望んでいる。ビルマのジャングルで、そして、刑務所の壁の向こうで何が起きているかは知られたくないのだ。
国連の委員会は、真実を暴き、有効なアクションのための道をつくってくれるはずだ。テインセインが本当に改革を望んでいるのであれば、委員会は止めはしないだろう。しかし、ビルマの政治犯の状況を改善させるのに委員会は役立つだろう。過去の20回にわたる国連総会の決議では、政治犯の状況は変わらなかった。政治犯はもう黙って待っていることはできないのだ。ヨーロッパ共同体は今こそ行動を起こすべきだ。
【拙訳】
元の英文記事はこちら
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